海外向けLP制作ガイド|文化・言語・デザインまで“刺さる”ページを作るには?

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海外展開の第一歩として、既存の日本語LPを英語に翻訳して使おうとするケースはよくあります。
しかしそのまま翻訳しただけのLPでは、思ったような反応が取れないという声が非常に多いのが現実です。

なぜかというと、ユーザーが受け取る情報の“意味”や“印象”が文化によって大きく異なるからです。

たとえば、日本では「丁寧で詳細な説明」が安心感につながる一方、英語圏では「端的で直球な訴求」が好まれます。
同じ商品・同じサービスでも、伝え方を間違えると“胡散臭く”見えることすらあります。

さらに、ユーザーの行動パターンにも差があります。
たとえば欧米のユーザーは、スクロールよりもファーストビューでの直感判断を重視する傾向があり、長文の導入や回りくどい構成はCVRを下げる原因になりがちです。

翻訳だけでは売れない理由

また、検索行動の傾向も国によって大きく異なります。日本では「具体的な課題×商品名」で検索されることが多いですが、英語圏では「悩みベース」「How to系」「比較」での情報収集が主流になることも。

こうした違いを無視して「翻訳」だけでLPを展開してしまうと、
どれだけ良い商品であっても、“文化の壁”に阻まれてスルーされてしまうのです。

成果を出すには、単なる翻訳ではなく、文化・行動様式・検索傾向まで含めた“現地最適化”が必要不可欠です。

目次

前提理解|海外ユーザーはここが違う

海外ユーザーの心理行動的違い

海外向けLPを作るうえで見落とされがちなのが、「ユーザーの前提条件」そのものが違うという点です。
同じデザイン・同じコピーでも、ユーザー心理や購買行動の違いによって刺さり方がまったく異なります

ユーザー心理の違い(不安感/情報の探し方)

海外ユーザーは、特に初見ブランドに対する不信感が強い傾向があります。
「この会社は本当に存在するのか?」「届くのか?」「安全なのか?」といった基本的な信頼性に対して、慎重にチェックする文化が根づいています。

また、情報収集のスタイルにも違いがあります。
たとえば日本人は「検索→公式サイト」の流れが一般的ですが、英語圏ではレビューサイトやSNS、比較サイトを経由して判断する口コミ文化が根強く存在します。
つまり、「公式サイトだけで完結させよう」と思っていると、そもそも見られない可能性すらあるのです。

購買行動の違い(クリック動線・決断スピード)

クリックのハードルも異なります。
日本では「とりあえずクリックして詳細を見る」ユーザーが多い一方で、欧米では「本当に納得したときにだけ行動する」慎重派も多く、CTA(Call to Action)の設計次第でCVRが大きく変動します。

また、導線の設計も文化によって合う・合わないがあります。
たとえば、日本では「スクロールしながら情報を見て納得してから購入」する人が多いのに対し、欧米では「目的に直結する導線があるか」「直感的にわかりやすいか」が重視されます。

つまり、LP全体の構成を「ユーザーがどう動くか」から逆算する必要があるということです。

海外向けLPで成果を出す5つの重要ポイント

海外向けLPで成果を出す5つの重要ポイントのまとめ

海外向けにランディングページ(LP)を展開する際、ただ日本語のLPを翻訳するだけでは、十分な成果は期待できません。文化・言語・UXの違いを踏まえた“最初から海外仕様の設計”が鍵となります。ここでは、特に重要な5つのポイントを解説します。

① ファーストビューの“直訳禁止”

日本語でありがちな丁寧な言い回しや回りくどい表現は、英語圏では伝わりにくく、興味を持たれない原因になります。

  • 例:「おかげさまで10周年を迎えました」→ 英語ではほぼ不要
  • 代わりに:「Award-winning. Trusted by 10,000+ customers.」など成果や社会的証明を強調

ファーストビューでは、“短く、強く、ストレートに”伝えることを意識しましょう。主語・動詞の明確さも重要です。

② コピーは“共感ワード×現地課題”で設計

ただ英訳するだけでなく、**その国・文化の「課題」や「背景」**にフィットしたワード選びが成果を左右します。

  • 例:日本では「時短」が刺さっても、欧米では「効率化」や「ストレス軽減」の方が響くことも
  • 現地のレビューやQ&Aサイトを調査し、「検索される言葉」や「悩みの言語化」をコピーに反映

現地語のプロコピーライティングができる人材がいれば理想ですが、最低限でも翻訳+リライトをセットで行いましょう。

③ デザインは文化に合わせる

文化によって「好まれるレイアウト」や「色の印象」「情報量の好み」が大きく異なります。

  • 欧米:余白を重視し、CTAは目立たせる。情報は階層的に整理。
  • アジア:やや情報量が多くてもOK、視覚的インパクトが重視されることも。

また、色には文化的な意味があり、

  • 赤:西洋では情熱/アジアでは祝福/中東では警戒 など
    背景文化も踏まえた配色設計が求められます。

④ フォーム・決済・配送に対する安心設計

商品が魅力的でも、「このサイトからちゃんと買えるのか?」という不安があれば購入されません。

  • 決済方法:PayPalやApple Pay、Klarnaなど現地で信頼されている支払い手段の導入
  • 配送情報:送料・関税・日数の明記と、返品ポリシーの明示
  • フォーム項目:住所入力欄の順番や形式も国により最適化が必要

「買えるかどうか」より「安心して買えるかどうか」がCVRに直結します。

⑤ 多言語対応は“ページ構造”から設計を

多言語LPにする際、単に翻訳するだけではSEOもユーザー体験も中途半端になります。

  • hreflangタグを正しく設置し、Googleに国別ページを明示
  • 多言語対応ツール(WeglotやLangifyなど)を活用し、翻訳だけでなくCTAや構成の微調整も実施
  • 理想は「国別に個別ページを作成し、構成・コピー・導線を最適化」

たとえば、同じ商品でもアメリカでは「安全性」、ドイツでは「環境配慮」が響くように、コピーの優先順位も変わります。

事例で学ぶ|成功した海外向けLPの共通点

「翻訳だけでは売れない」という前提のもと、成果を出しているLPは何を工夫しているのか。ここでは、実際に成果を上げた2つの事例を紹介しながら、海外向けLPの成功ポイントを紐解きます。

成功事例①:日本の和菓子ブランド(北米向け)

ある日本の老舗和菓子ブランドは、北米市場に向けて自社のランディングページを展開。初期は「日本の伝統文化」や「上品な味わい」などを訴求していましたが、現地では今ひとつ反応が伸びませんでした。

転機となったのは、「ギフト文化」にフォーカスしたコピーとデザインへの切り替えです。

  • バレンタイン、母の日、サンクスギビングなど、ギフト需要が高まるイベントにあわせて訴求軸を変更
  • 「手のひらサイズの贈り物」「日本から届く特別な体験」といった、感情に訴えるコピーに刷新
  • ギフト包装や配送スケジュールの情報も強調し、「間に合う」「贈れる」という安心感を演出

その結果、イベント前の期間限定キャンペーンでCVRが1.8倍に増加。文化的背景を理解した上での“現地視点の価値提案”が大きな成功要因となりました。

成功事例②:美容系D2Cブランド(アジア向け)

ある美容系のD2Cブランドは、日本国内でのLPをそのまま海外向けに英訳していたものの、アジア市場(特に台湾・香港)では反応が鈍く、CPAが高止まりしていました。

そこで取り組んだのは、ビジュアル・コピーの“現地化”でした。

  • 使用イメージ写真を現地の肌タイプ・ライフスタイルに合ったモデルに差し替え
  • キャッチコピーを「日本発」から「肌悩みに合わせたナチュラルケア」へと変更
  • SNSで使用されている言葉やタグをリサーチし、親しみやすく共感されるワード選びを徹底

結果、広告からのLP流入後の離脱率が大幅に改善し、CVRが約1.6倍に向上。単に「日本の商品をそのまま伝える」のではなく、「現地の人が“自分ごと”として捉えられる表現」にチューニングしたことが奏功しました。

どちらの事例にも共通しているのは、「相手の文化・価値観・行動パターンを理解し、それに合わせて“見せ方”を最適化したこと」です。

“文化を売る”のではなく、“文化に合わせて届ける”
それが、海外向けLP成功の最も基本的で、最も難しいポイントだと言えるでしょう。

LP制作前にやるべき準備

海外向けLP(ランディングページ)制作で成果を出すには、デザインや翻訳に入る前段階の“準備”が非常に重要です。ただ英語に置き換えるだけでは不十分。現地ユーザーの感覚にフィットする構成・表現にするために、以下の3つのステップを踏んでおきましょう。

市場調査・競合リサーチ(現地LPの雰囲気を調査)

まずは、現地で実際に使われているLPを観察することから始めましょう。

  • どんな商品が売れているのか?
  • CTA(購入ボタン)の位置や文言はどうなっているか?
  • 写真の雰囲気やモデルの使い方は?

この段階で、「自社のLPがどれだけ“日本的”か」が明らかになります。Googleのローカル検索や、Meta広告ライブラリ、各国の人気ECサイトをチェックすると、現地のLPのトーンや導線設計が見えてきます。

文化的NG表現の確認

日本では当たり前でも、海外ではタブーとされる表現やビジュアルもあります。

  • 手のポーズや色使い(宗教的意味を含む場合も)
  • 「日本品質」「おもてなし」などの表現がピンとこない国も
  • 過剰な謙遜・誇張が逆に信頼を損なう場合も

制作前に、文化的な文脈や価値観の違いを確認しておくことで、炎上や違和感を回避できます

英語/多言語コピーのトーン設定(ブランドボイス設計)

最後に、「誰に、どんな口調で話しかけるのか?」を明確にしましょう。

  • 親しみやすさ重視か、信頼感重視か
  • フレンドリー/フォーマル/プロフェッショナルのどれに寄せるか
  • 日本語とのトーンの整合性をどう保つか

このトーン設定(ブランドボイス)は、LPだけでなくSNS・メルマガ・広告コピーにも一貫して活用される重要な設計指針です。翻訳ではなく「英語コピー」として最適化する視点が欠かせません。


この準備段階を丁寧に行うことで、海外ユーザーにとって“自然で信頼できるLP”が設計できるようになります。翻訳に入る前こそ、最も戦略的に時間をかけるべきフェーズです。

まとめ|翻訳ではなく“現地向けに最適化”を

海外向けLP(ランディングページ)で成果を出すには、単なる翻訳では不十分です。
「現地ユーザーにとって自然かつ信頼できる設計になっているか」がすべての鍵となります。

日本語LPをそのまま英訳しても、「なんとなく違和感がある」「共感できない」と感じられてしまえば、購入にはつながりません。
なぜなら、文化的背景・言語表現・ユーザー心理が国によってまったく異なるからです。

  • 信頼される構成(UI・導線・CTAの位置や文言)
  • 共感を生むコピー(現地の“悩み”と“言葉”に寄り添う)
  • 安心できる決済・配送設計(見えない不安を取り除く)

こうした「文化に最適化されたLP設計」は、小さな違和感を減らし、CVR(コンバージョン率)に大きな差を生みます。

翻訳ではなく“最適化”へ。それが、海外ユーザーの心を動かし、成果につながるLPの作り方です。

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