Shopifyで海外発送を設定する方法|送料・税関・注意点– 越境ECの配送で売上が変わる。送料・関税・発送方法まで、Shopify設定の基本と戦略を詳しく解説。 –

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目次

越境ECでは「発送設計」が売上を左右する

越境ECにおいて、商品そのものと同じくらい重要なのが「発送の設計」です。
日本国内のEC感覚で「とりあえず送料無料にしておけばOK」と考えていると、海外のユーザーにとっては逆に不信感や混乱を招くことがあります。

たとえば、配送方法が曖昧だったり、到着までの日数が不明確だったりすると、それだけでカート離脱につながります。特に欧米圏では「配送がいつ届くか」「送料はいくらか」が購入の意思決定に直結する文化が根付いています。

さらに、国や地域によっては関税・通関手数料がかかるケースも多く、それらがユーザーの手元で追加請求されると、クレームやリピート率の低下にもつながりかねません。

つまり、商品がどれだけ魅力的でも、「発送条件」が悪ければ売上は伸びないということです。
越境ECの成功には、言語や決済と並ぶ“インフラ設計”として、発送を戦略的に組み立てることが欠かせません

Shopifyの「配送プロファイル」機能の基本

配送プロファイルとは?(国内と海外を分けられる)

Shopifyでは、「配送プロファイル(Shipping Profiles)」という機能を使って、商品や地域ごとに柔軟な送料設定が可能です。
これにより、日本国内と海外で別々の送料・配送条件を設定することができるため、越境ECには欠かせない仕組みです。

たとえば、日本国内は宅配便で一律料金、アメリカはDHL、ヨーロッパはEMSというように、地域ごとに配送手段と料金を分けることができます。

ゾーンと送料の設定(国・地域別に細かく調整可能)

配送プロファイル内では、「配送ゾーン(Shipping Zones)」を作成することで、国や地域ごとの送料設定が行えます。
たとえば、「アジア」「北米」「ヨーロッパ」といったゾーンを作り、それぞれに異なる送料や配送手段を適用することが可能です。

さらに、価格ベース(例:$50以上で送料無料)や重量ベース(例:2kgまでは$10、以降は$2/kg加算)など、料金体系の自由度も高く、現地のユーザー体験や収益性に合わせて細かく最適化できます。

特定の商品だけに適用するには?(配送条件の分離)

配送プロファイルは、「全商品共通」ではなく、特定の商品だけに適用させることも可能です。

たとえば、「冷蔵便が必要な食品」「大型の家具」など、特別な配送条件がある商品については、それ専用のプロファイルを作成し、送料・配送業者・地域制限などを分けて設定できます。

このように、Shopifyの配送プロファイルを活用すれば、越境ECでの複雑な配送ニーズにも柔軟に対応することができ、無駄なコストやクレームの削減、顧客満足度の向上につながります

送料の設定方法と戦略

越境ECでは「送料の設定」がCV(コンバージョン)に大きな影響を与えます。
単にコストを反映するだけではなく、「心理的な納得感」「価格とのバランス」「購入単価を上げるための導線」として、戦略的に設計することが重要です。

無料配送 vs 有料配送の使い分け

無料配送(Free Shipping)は、ユーザーにとって最も魅力的なオファーのひとつです。特に初回購入や単価の高い商品では、「送料無料」がCV率を大きく押し上げることがあります。

ただし、すべての商品・すべての国に一律で適用するのは現実的ではありません。以下のように使い分けるのが効果的です:

  • 単価の高い商品:送料を価格に組み込み「送料無料」に見せる
  • 一定金額以上購入:〇〇ドル以上で送料無料(客単価UPを狙う)
  • 遠方や送料が高い地域は有料配送に

重量ベース/価格ベースの設定

Shopifyでは送料を「商品の重さ」や「購入金額」に応じて設定できます。
どちらを使うべきかは商品の特性と配送コスト構造によって異なります。

  • 重量ベース:物理的な重量が送料に直結する商品(食品、家電、家具など)に適する
  • 価格ベース:軽量でも高額な商品の場合はこちらが有効(化粧品、アパレルなど)

また、一定の重量・金額を超えた場合の段階課金も可能なため、送料で利益を損なわないよう調整が必要です。

実費設定 vs 利益込み(送料で利益確保するパターン)

「送料は利益を取らない=実費設定」と考えるのは危険です。国際配送では為替変動・関税・燃料費調整など予測困難なコスト要因が多く、実費だけでは赤字になることも。

以下の2つの考え方があります:

  • 実費設定:コストを正確に反映し、透明性を重視(ただし利益なし)
  • 利益込み設定:送料の中に一定のマージンを含め、リスクを緩和(ただし価格感に注意)

「利益は商品価格で取るべきか?送料にも含めるべきか?」はビジネスモデルによって異なるため、販売戦略と照らし合わせてバランスを取ることが成功の鍵です。

関税・輸入税の扱い方

越境ECでは「関税・輸入税」が最もトラブルにつながりやすいポイントの一つです。
特に、ユーザーが事前に税負担を把握できない場合、「商品は届いたけど関税を請求された」という体験が、ブランドへの不信感やクレーム、返品の増加を引き起こします。
そのため、配送条件と同様に“関税ポリシーの明示”と“課税の仕組みづくり”が重要になります。

DDPとDAPの違い(どちらがユーザーに優しいか)

関税の支払い方法には、主に2種類のインコタームズ(貿易条件)があります:

  • DDP(Delivered Duty Paid)=関税込み配送
     → 販売者が関税を事前に計算・徴収し、ユーザーは追加支払い不要。
     → ユーザー体験が良く、リピーターも獲得しやすい。
  • DAP(Delivered at Place)=関税別配送
     → 商品は届けるが、関税や税金は受け取り時にユーザー負担。
     → 追加請求によりトラブルや離脱の可能性が高い。

結論として、B2Cでは基本DDPの導入を推奨します(ただし、国によって対応可否あり)。

Shopifyで関税計算を有効化するには?

Shopifyでは「Shopify Markets」機能を利用することで、一部の国に対して関税・税金の自動計算と徴収が可能になります。

対応国(例:米国、EU加盟国、カナダなど)であれば、以下の手順で設定できます:

  1. 管理画面の「Markets」から対象国を選択
  2. 「課税・関税」の設定をONにする
  3. 関税率はShopify側で自動取得(毎月アップデート)
  4. ユーザーはチェックアウト時に「すべて込み」の価格を確認できる

※ 対応していない国では、外部アプリや手動通知(注意書き)などで対応が必要です。

商品価格に税金を含める or 除外する戦略

多くの国では「表示価格に税金が含まれていること」がユーザーの期待値となっています。
とくに欧州ではVAT(付加価値税)込み価格が標準であり、除外していると誤解や混乱の原因になります。

価格設計の選択肢は以下の2つ:

  • 税込価格で表示(例:$120=商品$100+税$20)
     → ユーザーにとって明瞭、信頼性が高い
  • 税抜き価格で表示(例:$100+税)
     → 表示価格が低く見えるが、購入時に心理的障壁が生まれやすい

ターゲット国の文化や消費者の慣習を踏まえて、「商品価格=支払総額」に近づける設計が理想です。
また、Shopifyでは「商品価格に税金を含める」設定も可能なため、ターゲットに応じて使い分けましょう。

越境配送でよく使われる発送手段

海外販売では、どの配送手段を使うかがユーザー体験と物流コストを大きく左右します。
配送速度、コスト、信頼性、サポート体制のバランスを見極めて、自社にとって最適な手段を選ぶことが重要です。

DHL/FedEx/UPS/日本郵便(EMS)の特徴比較

会社名配送速度信頼性料金特徴
DHL◎(欧州に強い)EU圏へのスピードと通関力に定評あり
FedEx◎(北米に強い)アメリカ向けの越境ECに最適
UPS北米〜欧州、法人取引に強み
日本郵便(EMS)コスト重視なら有力候補、国によって配送速度に差

・B2C販売においては「配送の安定性」と「トラブル対応のしやすさ」が鍵
・サービスレベルと費用のバランスを取るなら、地域ごとに使い分けが効果的

海外発送に強いフルフィルメントサービス

越境ECをスケールさせる場合、自社発送だけでの対応には限界があります。
そこで、海外拠点を持つフルフィルメントサービスを活用することで、配送速度や返品対応を大幅に改善できます。

代表的なサービス例:

  • ShipBob(アメリカ・イギリス拠点)
  • Rakuten Super Logistics(アメリカ)
  • Easyship(多拠点・レート比較機能あり)
  • Shopify Fulfillment Network(対象国限定)

これらを活用すれば、現地配送のようなスピード感とコスト最適化が可能になり、競合との差別化ポイントにもなります

追跡機能・配送保証の重要性

越境配送では、「届かない/遅れる/破損する」というリスクが常につきまといます。
このため、**追跡機能(トラッキング)配送保証(インシュアランス)**の有無は、ユーザー満足度に直結します。

  • 追跡機能あり:ユーザーが安心して待てる。問い合わせ削減にも貢献
  • 配送保証あり:破損・紛失時のカバーが可能。信頼性UP
  • トラブル時の対応体制:英語対応サポート/返金処理のスムーズさ

安価な配送手段でも「追跡不可・補償なし」ではトラブル対応が難しくなり、結局コスト増やブランド毀損につながるリスクがあるため、信頼性を優先する設計がベストです。

トラブルを防ぐための注意点

越境配送には国内ECでは考えにくいトラブルがつきものです。
発送手段や関税処理を万全にしていても、予期せぬ遅延・通関ストップ・現地事情による配達失敗など、ユーザーにとっては不安要素が多く存在します。
ここでは、よくあるトラブルとその予防策を解説します。

商品ごとの発送可否(禁制品リスト確認)

国によって輸入禁止・制限がある商品が異なり、知らずに発送すると通関で止まる・返送される・罰金を科されるケースもあります。

例:

  • アルコール類、医薬品、リチウム電池:多くの国で厳しい制限
  • 食品・化粧品:成分表示や輸入認可が必要な場合あり
  • 中東・アジア圏:宗教・文化上の制約による禁制あり

発送前には、各配送業者の「禁制品リスト」+発送先国の税関情報を要チェック
また、Shopifyの「商品条件タグ」などを活用し、対象国ごとの出荷可否を管理するのも効果的です。

現地で関税トラブルが起きたときの対応

DDPを導入していない場合、ユーザーが商品受け取り時に「想定外の関税・手数料を請求される」ことがあります。

対応策:

  • 注文確認メールに関税に関する注意書きを明記
  • FAQページに「国別の関税ポリシー」掲載
  • 問い合わせ対応のテンプレート準備(英語対応含む)

また、「関税は自己負担である」旨を明示する文言をカート画面や注文時に表示することで、未然にトラブルを防げます。
DDP対応が難しい国では、事前の透明な説明が最も有効です。

「届かない」「遅い」といったクレームを減らす方法

越境配送では、予想以上のリードタイム(配送日数)がかかることが多く、トラブルではなくても“体感的な遅さ”がクレームにつながるケースがあります。

対策例:

  • 配送目安日数を「余裕を持って」表示(例:5〜10営業日)
  • 追跡機能を提供し、進捗確認を可能にする
  • 注文後のステータス通知(例:発送完了・通関通過など)を自動化
  • 初回購入者向けに配送ガイドを送付(期待値コントロール)

特に、明確な“情報提供”によってユーザーの不安を減らすことが、配送体験の満足度を大きく左右します。

トラブルを完全にゼロにすることは難しいですが、事前に起こりうるリスクを想定し、説明責任を果たしておくことで、信用とリピートにつながります

BODALESSによる発送設計支援

越境ECの成否を分ける要素の一つが「発送設計」です。
BODALESSでは、単なる設定代行にとどまらず、ユーザー体験・収益性・運用効率を総合的に見据えた発送戦略を支援しています。

国別の送料設計と通関アドバイス

送料設定は「安すぎると赤字・高すぎると離脱」という繊細なバランスが求められます。
BODALESSでは、以下の観点から国ごとの最適な送料・配送条件を設計します。

  • 地域別の送料シミュレーション(DHL/FedEx/日本郵便等との連携)
  • 商品単位/バスケット単位でのコスト構成分析
  • 関税・輸入規制の最新情報を踏まえたルール整備
  • 「DDP対応の可否」やリスク管理のアドバイス

現地文化や購入行動を理解した上で、利益を確保しながらも納得感ある送料設計を支援します。

UI改善(送料表示の分かりやすさ/CV率改善)

「送料が分かりにくい」「あとから課金されそう」という印象は、カート離脱の最大要因の一つです。

BODALESSでは、送料の“見せ方”そのものを最適化します:

  • 商品ページ/カート画面への送料表示の工夫(国別に切り替え)
  • 税・関税の説明を簡潔かつ安心感ある文言に調整
  • 表示順やレイアウト変更によるCV率改善のA/Bテスト設計

ただ設定するだけではなく、ユーザー心理を踏まえたUI設計とストア改善まで一貫対応します。

倉庫選定やフルフィルメント導入支援

「注文が増えてから考えればいい」と後回しにしがちな倉庫戦略。
しかし、配送のスピードとコストは、販売初期から重要な差別化要因になります。

BODALESSでは以下のような支援が可能です:

  • 日本・海外(アメリカ/ヨーロッパ)の倉庫選定
  • Shopifyと連携可能なフルフィルメントサービスの導入支援
  • 倉庫間在庫移動/複数拠点対応のシステム設計アドバイス

スモールスタートの段階からでも、成長を見越したロジスティクス設計を行うことで、将来的な配送遅延やコスト増を防げます。

Shopifyの設定は入り口にすぎません。
BODALESSは「物流=顧客体験の一部」と捉え、売れる設計・不満のない配送体験を支えるパートナーとして伴走します。

まとめ|発送で差がつく越境ECの成功戦略

越境ECにおいて「どこまでスムーズに商品を届けられるか」は、ブランドの信頼感を左右する極めて重要な要素です。
商品ページや広告にどれだけ力を入れても、配送体験でユーザーが不安を感じれば、リピートや口コミにはつながりません

特に関税や送料といった見えにくいコストは、ユーザーの納得感をいかに作るかが鍵です。
誤解を招かない表現、想定外の負担を避ける設計、問い合わせ前提の体制づくりなど、細部まで丁寧な設計が求められます。

また、全世界対応をいきなり目指すのではなく、まずは1〜2カ国に絞ってテスト運用し、配送条件やリードタイム、トラブル傾向を見極めてから拡張するのも効果的です。

「売る」だけでなく「届ける」まで設計できてこそ、
越境ECは本当の意味で成功します。

不安な場合は、物流設計のプロと組んで“売れる体制”を整えていくことも、戦略の一つです。

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