韓国EC市場規模 2025|伸びるジャンルと購買傾向

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韓国は人口約5,000万人と中規模ながら、EC利用率やモバイル決済の浸透度では世界トップクラスを誇ります。スマホを握ったまま検索から購入まで完結できる環境や、口コミ文化による爆発的な拡散力が組み合わさり、ユニークな市場構造を築いてきました。

本記事では、2024年の最新データから2030年までの成長予測、そして韓国ECを動かす「流行ジャンル」「購買行動の特徴」を整理しながら、これから伸びる分野と未来シナリオを考察します。王道的な成長ジャンルに加え、独自の予測や大胆なトレンド仮説にも触れ、韓国ECの今と未来を立体的に描きます。

*この記事は「韓国越境EC完全ガイド」の一部です。全体像を知りたい方は、こちらをご覧ください。

目次

韓国EC市場の最新データ(2025年時点)

韓国のEC市場は人口約5,000万人という国の規模を超えて、世界的にも存在感を高めています。経済産業省やKorea Customs Serviceの統計によると、2025年時点で市場規模は約1,600億USD(約24兆円)に達し、前年比6〜7%前後の安定成長を続けています。

特に顕著なのがモバイル経由の購買比率で、2025年には全EC取引の70%以上がスマートフォンアプリ経由で行われました。日本では依然PCやカード決済主体の層が一定数残るのに対し、韓国ではスマホで検索・比較・決済までを完結する行動が一般化しており、「モバイルファースト市場」として特徴づけられます。

また、越境ECの取引規模も拡大しています。韓国関税庁のデータによると、2025年の海外直送(직구)市場は前年比2桁成長を維持し、日本・アメリカ・中国からの輸入が中心です。特に日本製の化粧品・健康食品・日用品は「品質・安全性」で高く評価され、韓国消費者の越境購買を牽引する分野となっています。

2030年までの成長予測(シナリオ分析)

韓国のEC市場は、2025年時点で約1,600億USD規模に達し、今後も安定的な成長が見込まれています。2030年に向けては、以下の3つのシナリオが想定されます。

シナリオ① ベースライン成長(年平均+5〜6%)

政府統計や民間調査機関の予測によると、韓国EC市場は今後も年率5〜6%前後で拡大し、2030年には約2,200〜2,300億USD規模に到達する見込みです。人口は横ばいですが、購買単価の上昇とオンラインシェアの拡大が市場を押し上げます。

シナリオ② モバイル・ライブコマース加速(年平均+7〜8%)

ライブコマースの普及や、Naver・Coupangなどのプラットフォームによる購買促進が進めば、成長率はさらに高まります。この場合、2030年には2,500億USD超も視野に入り、特に美容・健康食品・ファッション分野で大きな伸びが期待されます。

シナリオ③ 成熟化シナリオ(年平均+3〜4%)

一方で、物流コスト上昇や人口減少の影響により、成長が鈍化する可能性も否定できません。この場合、2030年時点で市場規模は約2,000億USD前後にとどまる可能性があります。ただしモバイル比率や越境EC比率は高止まりするため、ニッチ商品やブランド力を持つ企業には依然としてチャンスがあります。

越境ECにとっての意味

  • ベースラインでも堅調成長 → 日本企業にとって中長期的に魅力ある市場
  • 加速シナリオならチャンス拡大 → ライブコマースやSNSマーケティングと親和性の高い商材が有利
  • 成熟シナリオでも安定市場 → 少子高齢化が進んでも「健康食品・高品質日用品」の需要は強い

韓国ECで流行っているもの

定番として売れ続けているジャンル

韓国EC市場では、美容・スキンケア、健康食品、食品・飲料といった分野が長年にわたり主力カテゴリとして君臨しています。

  • 美容・スキンケア:韓国消費者にとって最も身近な購買ジャンル。新商品サイクルが速く、常に入れ替わりはあるものの「美容関連が売れる」という構造自体は変わりません。
  • 健康食品・サプリメント:ダイエット、免疫、美容成分配合など、健康志向の高まりとともに安定した需要を維持。定期購入やサブスクリプション型の利用が浸透しており、LTVが高いジャンルです。
  • 食品・飲料:スナック菓子やインスタント食品、トレンド系ドリンクは常に上位を占めています。特にYouTubeやSNSの「食べてみた」コンテンツと相性が良く、安定的に売上を伸ばすジャンルです。

2026年以降も伸びが期待される安定ジャンル

直近の社会変化を背景に、新たに拡大しているジャンルもあります。

  • ペット用品:韓国ではペット飼育世帯が増加しており、フード・ケア用品のオンライン購入が急成長。高品質・プレミアム志向の商品が支持され、今後も伸びが期待されます。
  • ライフスタイル雑貨・インテリア:収納用品やインテリア雑貨は、ミニマル志向や在宅時間の増加により需要が拡大。シンプルでデザイン性の高い商品が安定的に売れ続けています。
  • ウェルネス・サステナブル商品:環境意識の高まりから、オーガニックやエコ素材を使った商品の人気が上昇傾向にあります。

瞬間的なトレンドを生みやすい販売手法

韓国EC市場のもう一つの特徴は、「トレンドが一気に拡散し、短期間で爆発的に売れる」点です。

  • ライブコマース発の商品:Naver LiveやCoupang Liveといった配信プラットフォームでは、インフルエンサーや有名人が紹介した商品が放送中に完売するケースも珍しくありません。リアルタイムでの体験共有が購買を加速させる仕組みです。
  • SNS・口コミ主導の拡散:InstagramやYouTubeでのレビュー動画、Naver Blogでの体験談が購買に直結します。特にZ世代は「SNSで話題かどうか」を購買判断の重要な基準としています。
  • 短期トレンドの特徴:一度火がつくと売上が急拡大する一方で、ブームが数週間〜数ヶ月で沈静化するケースも多い。したがって、在庫調整やマーケティングのスピードが鍵となります。

このように、韓国EC市場では「鉄板で売れ続ける安定ジャンル」と「新たに伸びる分野」、そして「瞬間的にヒットを生む販売手法」が複合的に絡み合って市場を形成しています。企業が参入する際には、自社商品がどの枠に属するのかを見極めた上で、ローカライズ戦略やマーケティング手法を組み合わせることが成功のポイントとなります。

韓国ECを支える購買行動の特徴

韓国ECを支える「口コミ経済圏」の正体

韓国EC市場の最大の特徴のひとつが、口コミが経済圏そのものを形成しているという点です。購買プロセスの中で、消費者はまず「誰かの体験談」を探し、その内容を基準に購入を判断します。

特に影響力が大きいのが NaverブログやSNSレビュー です。韓国の消費者はGoogle検索よりもNaver検索を使う割合が高く、検索結果に表示されるブログ記事やレビューが購買決定に直結します。企業公式サイトの説明よりも、実際の利用者による体験談の数と質が「信頼の指標」として重視されるのです。

また、この口コミ文化は単にインフルエンサーの発信だけに依存していません。韓国では一般ユーザーの声にも大きな影響力があり、SNSやレビューサイトで「リアルな利用感」が共有されると、一気に商品が話題化します。逆にレビューが少ない商品は「売れていない=信頼できない」と見なされ、購入対象から外されやすいのも特徴です。

このように、韓国ECは「口コミ=通貨」とも言える文化を持ち、体験談の拡散がそのまま売上を動かす経済圏となっています。企業が韓国市場で成功するためには、広告以上に「レビューをどのように生み出し、拡散させるか」が戦略の中核を占めます。

モバイル先進国・韓国ならではの購買スタイル

韓国EC市場を語る上で欠かせないのが、モバイル主導の購買行動です。2024年時点でEC取引の7割以上がスマートフォン経由で行われており、PCよりもモバイルが完全に主役となっています。

特徴的なのは、消費者がアプリを中心に生活している点です。NaverやCoupangなどのECアプリでは、検索から商品比較、レビュー確認、決済までがワンストップで完結でき、利便性の高さが購買行動を加速させています。特に、アプリ上でのパーソナライズ機能やレコメンド精度が高く、ユーザーは「必要な商品にすぐ出会える」体験を当たり前のように享受しています。

さらに、決済スピードの速さも韓国市場の特徴です。KakaoPayやNaverPayといったモバイル決済が広く普及しており、指紋認証やワンタップで支払いが完了する環境が整っています。これにより、購入のハードルが極端に低くなり、衝動買いやSNS発のトレンド商品購入を後押ししています。

韓国は世界でも屈指のモバイル先進国であり、EC市場もこのモバイルシフトによって拡大を続けています。今後も「スマホを握ったまま購買が完結する」スタイルが標準であり続けると考えられます。

トレンドが生まれて消えるまで -韓国ECのスピード消費文化-

韓国EC市場を特徴づけるもうひとつの側面が、トレンドの移り変わりの速さです。SNSや口コミで火がついた商品は、数日〜数週間のうちに爆発的な売上を記録することがあります。特にInstagramやYouTubeのレビュー動画、Naverブログの記事が拡散されることで、一気に需要が集中するケースが少なくありません。

しかし同時に、韓国市場はブームが沈静化するスピードも早いのが特徴です。短期間で注目を集めた商品も、数ヶ月後には消費者の関心が別の商品に移っていることが多く、在庫や生産体制の調整が間に合わずに苦戦する企業も少なくありません。

この「スピード消費文化」は、韓国の消費者が常に新しい商品を求める傾向を反映しています。特にZ世代を中心に、SNS上で「話題になっているかどうか」が購入判断の大きな基準となっており、熱量の高いコミュニティでの拡散が売上に直結します。

韓国市場で安定的に成果を上げるには、このスピード感を理解し、短期的なヒットを仕掛けつつ、中長期で定着させる仕組みを構築することが欠かせません。リアルタイムで消費者の動きを捉え、迅速にマーケティング施策を展開できる企業が勝ち残っていきます。

韓国消費者が買う前に必ずチェックするものとは?

韓国の消費者は購買に慎重で、購入前に徹底的な情報収集を行う傾向があります。特に重視されるのが「レビュー」や「比較記事」です。単なる価格比較ではなく、実際に使った人の感想や使用感が決定打となります。

平均的な購買プロセスでは、消費者は複数のレビューを横断的に確認し、信頼できる情報を探し出します。商品ページの公式説明よりも、体験者の生の声や「どれだけレビューが集まっているか」というが、信頼度の指標とされています。

また、動画コンテンツの影響力も年々高まっています。YouTubeやInstagramのレビュー動画、さらにはライブ配信でのデモンストレーションは、静的なテキストよりも説得力が強く、購買の最終判断を大きく後押しします。

韓国市場においては「買う前にレビューをチェックすること」が消費行動の前提条件であり、企業はレビュー戦略を単なる販促ではなく必須の購買支援ツールとして位置づける必要があります。

韓国ECにおける「レビュー至上主義」

韓国EC市場では、レビューが単なる購入後の感想ではなく、購買判断の中心的な要素になっています。消費者は「どれだけ売れているか」をレビューの量で測り、レビュー数が少ない商品は信頼できないとみなされがちです。

また、レビューの質も重要です。写真付きや動画付きの詳細なレビューは高い影響力を持ち、購買意欲を大きく刺激します。特に化粧品や食品などの分野では、「使用前後の比較写真」「実際の使用シーンの動画」がリアルさを伝え、広告以上の効果を発揮します。

この文化の背景には、韓国社会における集団的な意思決定の傾向があります。多くの人が選んでいる商品=安心できる、という価値観が強く働くため、レビューが集まらない商品は市場から淘汰されやすいのです。

企業にとっては、レビューを自然発生的に待つのではなく、購入後にレビューを書いてもらう仕組み作りが欠かせません。ポイント付与やクーポン配布といったインセンティブ施策は韓国ECでは一般的で、レビュー施策を戦略的に運用できるかどうかが成功の分かれ目になります。

Z世代が主導する韓国ECの新しい購買行動

韓国EC市場の成長を牽引しているのは、1990年代後半〜2010年代前半に生まれたZ世代です。彼らはデジタルネイティブとして育ち、購買スタイルにも従来世代とは異なる特徴が見られます。

第一に、Z世代は「口コミ」よりも「体験型コンテンツ」を重視します。テキストレビューを読むだけでなく、YouTubeやTikTokでの使用動画、ライブ配信での実演を通じて商品を“体感”したうえで購入を決める傾向が強いのです。

第二に、購買動機は価格や機能よりも「共感」や「ストーリー」に左右されやすい点が挙げられます。ブランドの世界観や社会的メッセージに共鳴することで購入に踏み切るケースが多く、単なる価格競争では心を動かせません。

さらに、Z世代はSNS発信を前提とした購買行動をとります。買った商品をInstagramやTikTokに投稿することが自己表現の一部であり、商品選びの時点で「シェアしたくなるかどうか」が基準になることも少なくありません。

このように、Z世代は「見る→共感する→体験をシェアする」という循環を購買行動の中に組み込んでおり、韓国EC市場の新しい潮流をつくり出しています。企業にとっては、この世代の特性を理解し、体験型コンテンツとブランドストーリーを融合させる戦略が不可欠です。

購買行動から見える韓国市場のユニークさ

ここまで見てきたように、韓国EC市場には口コミ経済圏・モバイルシフト・スピード消費文化といった独自の購買行動が存在します。レビュー至上主義やZ世代の体験重視といった特性は、単なる「市場規模の拡大」では語れない韓国らしさを形づくっています。

  • 口コミが通貨になる市場:レビューや体験談が信頼度を決定し、広告以上の購買力を持つ
  • モバイル完結のスムーズさ:検索から決済までがワンタップで済む利便性が、消費の加速装置になっている
  • スピード消費とトレンド依存:ヒット商品の爆発力と同時に、在庫リスクを伴う短命性がある
  • 世代交代による価値観の変化:Z世代は「共感・ストーリー・シェア」を購買基準にしており、従来型マーケティングでは響かない

これらの要素が組み合わさり、韓国EC市場は他国にはない独自の成長パターンを描いています。企業が韓国で成果を上げるためには、このユニークな購買行動を理解し、それに沿った戦略(レビュー施策、体験型コンテンツ、スピード対応のマーケティング)を実行することが欠かせません。

王道的にアプローチするなら。これから伸びるジャンルと成長のカギ

韓国EC市場はすでに成熟度が高い一方で、消費者の購買行動や文化的特徴から、今後さらに拡大が期待できる分野が見えてきます。

ウェルネス・健康関連商品

レビューや体験談を重視する文化は、健康食品・サプリメントとの親和性が高い分野です。免疫系や美容系サプリに加え、メンタルヘルスや睡眠改善といった新しいウェルネス領域が注目されつつあります。Z世代を含む幅広い層が「自己投資」として購入する傾向が強まるでしょう。

ペット用品市場

ペット飼育世帯の増加とともに、プレミアムペットフードやケア用品の需要は堅調に拡大しています。特に「安全」「オーガニック」といったキーワードは口コミで広まりやすく、今後ECを中心に成長が続くと見込まれます。

サステナブル商品・エシカル消費

環境意識の高まりを背景に、リサイクル素材を用いたファッションやエコ包装の日用品がじわじわと支持を集めています。韓国では「トレンド消費文化」と「社会意識」が同時に存在しており、SNSで“共感”を得やすいジャンルは特に伸びやすいと考えられます。

ライブコマース発のトレンド商品

Naver LiveやCoupang Liveで取り上げられる商品は短期間でバズを生みます。特に美容・ファッション・食品など「見せて体験できる商品」はヒットしやすく、ライブコマースをきっかけに市場定着するケースも増えています。

成長のカギ

これから伸びるジャンルに共通するのは、

  • レビューや口コミで広がりやすい特性を持つこと
  • 共感やストーリーを発信できること
  • モバイル完結で体験をすぐにシェアできること

韓国市場では「売れる商品ジャンル」そのものよりも、文化と購買スタイルに適合しているかどうかが成功を左右します。今後の成長分野を狙う企業は、この消費文化に合わせた商品開発とマーケティングが不可欠です。

これから伸びるジャンル ― 独自予想編

バーチャル体験型商品

韓国はライブコマースやメタバースの実装が速い国です。2030年には「アバターに着せる服」や「バーチャルスキンケア」が当たり前になり、EC売上の一部が“デジタル体験商品”に置き換わる可能性があります。

マイクロ・トレンド食品

韓国の「スピード消費文化」から考えると、一発屋的ヒット食品は今後も増えるでしょう。例えば「一週間で話題が消えるドリンク」や「インフルエンサー専用スナック」など、短命でも爆発的に売れる商品が繰り返し登場する未来。

個人カスタマイズ健康市場

サプリや健康食品はさらに進化し、DNA検査やアプリ連動で“あなただけのパッケージ”をECで即購入する仕組みが一般化するかもしれません。レビュー文化と結びつけば「私の体験談=宣伝」になり、自然に口コミ経済圏に組み込まれます。

エモーショナル消費アイテム

Z世代は「機能」より「ストーリー」で動きます。例えば、推しアイドルが一言紹介しただけで完売するエコバッグや、SNSにアップしたときに“いいね”がもらえる小物。機能性よりも「共有したい感情」を刺激する商品が伸びそうです。

ペット × テック

ペット市場は成長中ですが、ただのフードやグッズではなく、IoT連動型のペットケア商品(自動見守りカメラ、AIおやつディスペンサー)がトレンドになる可能性があります。韓国のモバイル文化と相性抜群です。

まとめ

韓国ECの未来を読むうえで大事なのは、「文化とテクノロジーが融合すると何が生まれるか」という発想です。必ずしも当たる必要はなく、むしろ「この国らしい未来は何か」を想像すること自体に意味があります。

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